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データアナリストが日本のスポーツを強く、楽しくする!「日本スポーツアナリスト協会(JSAA) OPEN SEMINAR」突撃レポート

今、我々の生活は“データ”に溢れかえっています。「高解像度の写真を“データ”で送ると、メールボックスがすぐにパンクしてしまう」、「スマホで動画を見ると、簡単に月々の“データ”通信量の上限に達してしまう」といった“データ”にまつわる現象は皆さんの身近でもよく起こっていることではないでしょうか。

そして、この2、3年の間で、スポーツ界においても、データの重要性が高まってきています。具体的には、データがスポーツの新しい観戦の仕方を提供するケースと、データが競技力向上に活かされるケースの2パターンに分かれるかと思います。

前者のケースで言うと、代表的なものがMLB Advanced Media(MLBAM)が提供する選手の動作解析システム「STATCAST powered by amazon web services」です。こちらの動画を見ていただければ、解説は必要ないかと思いますが、打球の速度、方向、飛距離、選手のスピードといった動作のデータがビジュアライズされ、視聴者に驚きを与えます。

NFLも同様に、Microsoftとパートナーシップを結び、選手の両方の肩に装着したセンサーから得られる選手の動作データを映像化し、「Next Gen Stats」というシステムで新たな映像体験としてファンに提供しています。
https://www.youtube.com/watch?v=8cwrHyjFNqc

またNFLでは後者のケースとして、サイドラインでMicrosoftの「Surface」が使用されています。試合中に取得されたデータをリアルタイムでタブレットでチェックし、次の作戦に役立てることが出来るというわけです。
プロスポーツ界に進出するタブレット–MS製「Surface」を導入した米NFLの試み(CNET NEWS)

実はこうした取組みは日本でも行われています。私が一番最初に知ったきっかけは数年前のバレーボール女子日本代表の世界選手権での快進撃でした。当時の代表監督であった真壁監督がiPadを持って選手にアドバイスし、そのアドバイスを実行に移した日本代表の選手達が体格差をものともせず海外勢を倒し、32年ぶりに銅メダルを獲得した姿は、皆さんも記憶に新しいのではないでしょうか。
iPadと動画が変えた戦術 女子バレー飛躍の舞台裏(日経新聞)

こうした動きを受け、昨年スポーツにおける強化の最前線で活動するアナリストが中心となり日本スポーツアナリスト協会(JSAA)が設立されました。JSAAは競技の枠を越えてスポーツアナリストのナレッジを共有し、日本のアスリートのパフォーマンス向上に寄与することを理念に掲げた団体です。

今回、JSAAが「IT時代の野球のミカタ−−データで紐解く新常識」というタイトルで開催したセミナーにお邪魔してきました。

とても印象的だったのは、久村浩氏のスピーチで、「根性を科学する」ことに関して、ある選手の一塁までの到達タイムを計測すると、どんなシチュエーションにおいても同じタイムで走る選手と、そのタイムにばらつきが出てしまう選手の二種類がいたそうです。それぞれの選手のプレーシーンを振り返ってみると、前者の選手はやはり全力で走りきり、後者の選手は内野フライや点差の開いたゲームの時は手を抜いた走りをしていたとのこと。こうした根拠を元に選手を指導すると、選手も納得せざるを得ませんよね。
根性を科学する

これはスポーツに限った話ではありませんが、「アナライズ」において重要なのは大量のデータをいかに読み解き、ストーリーを持って相手に伝えるか、ということだと思います。実際にプロのアスリート達も最初は半信半疑でデータ化に協力するものの、自分のパフォーマンスが映像とデータでもって分析され、納得いくような説明を受けると、アナリストに対して自ら積極的に色々質問をしてくるといった態度変容を起こすそうです。

今後スポーツ産業に限らず、様々な側面でデータというものがフォーカスされる中で、こうしたデータを使った選手のパフォーマンス強化や観戦コンテンツのエンタメ化の流れはますます加速することでしょう。

ちなみに、12月19日(土)にこのJSAAが主催する「SAJ2015 -スポーツアナリティクスジャパン2015-」が日本科学未来館にて開催されます。来年新たに開幕するバスケットボールのプロリーグ“Bリーグ”のデジタル戦略や、今回のW杯で大躍進を遂げたラグビー日本代表のアナリティクス活用事例など、ホットな話題が盛りだくさん。詳細コンテンツは下記ウェブサイトにて掲載中。
http://jsaa.org/seminar/saj2015/