SPOZIUM(スポジウム)

ACTIVATION

”2020年以降のスポーツ界のために” SBAが目指すもの。vol.2

文:岡田 真理 構成:SPOZIUM編集部

今年10月に開校した、大学生・社会人のための超実践派スポーツビジネス講座「Sports Business Academy(SBA)」。今回は、その創設者の一人で、日本のスポーツ界でこれまで数々の改革を成し遂げてきた荒木重雄さんにお話を伺う。後編は、SBAを立ち上げた経緯や、SBAを通して実現したいことについてお聞きした。

Q4.スポーツ業界での活動を経てSBAを立ち上げられましたが、SBAの役割とは。

スポーツ業界ではモノを売っているわけではなく、大きな意味でサービスを扱っています。サービスというのは、人が作るもの。どんな人がどんなポジションに入るかで、サービスの質はがらりと変わります。人を作る重要性は、スポーツ業界に入ってからの10年でものすごく感じました。そして、東京オリンピックが決定したとき、これは日本のスポーツビジネスにとって大きな転機になるだろう、と。それで、「2020年に向けて人材を作りたい」と考えるようになったのです。

ただ、人材を作りたいと言っても、そんなにたくさんはいらないと思っています。ロッテの事例でもわかるように、改革を起こすためにはスピードも大事。あまり人が多いとスピードが落ちてしまう可能性もあります。誰か一人、強いリーダーシップで改革を起こせる人間がいれば、ポテンシャルの高いスポーツ業界なら大きな変化が見られると思います。

スポーツビジネスというと、何か特別なものと勘違いしがちなのですが、どんなスポーツ組織も総務部、企画部、管理部、広報部、マーケティング部などがあり、ファンダメンタルなところは一般企業と同じで、扱う商品がスポーツであるというだけ。まったく違う業種で専門性を持っている人がスポーツ業界に入ることはいくらでも可能で、あとはスポーツという商品と自分の専門性をどうマッチングさせるかです。そのマッチングのつなぎ部分を、SBAでうまく誘導できればと考えました。

Q5.日本のスポーツビジネスが抱える課題に対し、SBAとしてどのような働きかけができそうですか。

スポーツマーケティングには二種類あると考えています。一つが、①スポーツそのものをマーケティングして価値を高めていくスポーツマーケティング。簡単に言うとコンテンツホルダーのことです。もう一つが、②一般企業などスポーツ以外のところでスポーツの価値を活用しマーケティングするスポーツマーケティング。これは、スポンサーシップなどのことですね。

2020年に向けて、②のスポーツマーケティングはものすごく伸びるでしょう。しかし、①のほうは現状すべてがうまく回っているとは言えない。チケット販売などマストとなるオペレーションは回っても、戦略広報、つまりnice to have(あるとよりよいもの)はなくても試合が成立するので、そこまで手が回らない。資金がないから雇えない、雇えないから回らないという負のスパイラルをどうブレークスルーしていくかが課題です。

本来であれば、①と②が連動することが理想。①の価値が上がれば②の価値も自動的に上がります。そして、①の価値を上げるためには、やはり人材が必要なのです。逆に、①にモノとカネはいらない。人を育てさえすれば①の価値は高められると思います。①がきちんと機能し、スポーツマーケティングとして①と②がうまく融合できたとき、日本のスポーツビジネス界は一気に底上げできるでしょう。

Q6.今後の展望として、SBAの目指すものを教えてください。

現在、私は野球の侍ジャパンの事業戦略も担当していますが、いろんな競技に日本代表があるのと同じように、スポーツビジネスの世界にも日本代表のネットワークが競技の枠を超えて存在してもいいのではないかと常々思っていました。SBAでは、それを実現できるかもしれません。

GMの日本代表がいて、事業部長の日本代表がいて、球団本部長の日本代表がいて、営業、IT、管理部、コンディショニング、アナリスト、メンタルトレーナーなど、スポーツに関わるすべての職種において日本代表がいる。日本トップチームのスペシャリスト軍団で、バーチャルで組織を作れたら面白いじゃないですか。そして、全国からそのスキルを見たい、学びたいという志の高い人が集まってくる。将来的には、そういうものを作りたいですね。

オリンピックまであと4年半しかありませんが、開催翌年の2021年には、学生の「就職したい企業」のナンバーワンにスポーツチームやスポーツリーグが入っていてほしい。それが、SBAを通して我々が目指すところです。

文:岡田 真理 構成:SPOZIUM編集部