パナソニックのオリンピック・アクティベーション 「The World of Sports」体験レポート
今年に入って東京オリンピックの国内公式スポンサーが続々決定する中、日本企業の中でも最も古い1987年から世界最高位の「TOPパートナー」として、国際オリンピック委員会(IOC)とグローバルでパートナーシップ契約を結んでいるパナソニック。今回は東京都有明にあるパナソニックセンター東京にて開催されていたの特別企画展「The World of Sports」を体験してきました。
まず展示会場に入る前に、パナソニックがオリンピックに協賛する根幹の部分の説明を受けました。協賛の大前提として、パナソニックの理念とオリンピックの精神が重なり合っているのだそうです。ただ世界的なビッグコンテンツだから協賛しているというのではなく、こうした精神性の部分でも同じベクトルを向いて活動できるからこそ真のパートナーになり得るのだと思います。
重なり合うPanasonicの理念とオリンピックの精神
続いて、協賛する上でカギとなるテクノロジーや商品カテゴリーについての説明を受けました。勿論、精神的な繫がりのみで協賛しているわけではなく、この協賛によって自社のどのビジネスを成長させていくのか、というパナソニックの明確な意志も理解することができました。
世界中の人たちに感動と興奮を届けた5つの技術
大会を楽しむための4K商品やスポンサーカテゴリー商品
いざ展示会場に入ってみると、まず高さ5メートルほどの縦に連なったモニターでオリンピック各競技の起源となった古代スポーツの映像が流れていました。最近スタジアムでのスポーツ観戦の際に観る機会が増えたLEDバックライトのディスプレイを使ってのエンターテイメント動画コンテンツですが、オリンピック会場での盛り上がりも同様に演出されるのだろうか、と妄想が膨らみました。
ダイナミックな古代スポーツの映像
さらに進んでいくと、メインホールに入っていきます。ここでは実際の競技に使われたアイテムや競技記録などが展示されており、まさにオリンピック競技を肌で体感できるコーナーでした。
オリンピック競技を肌で体感できるメインホール
ここで特筆すべき点が三つ。まず一つ目は、「光ID」技術です。この動画を観ていただいたら分かる通り、スマホをLEDライトにかざすと、競技の関連情報をキャッチできるという体験です。(あまりの反応の早さには驚かされました!)
「光ID」技術体験の様子
どのように実用化するかはまさに今後検討される部分ではあるかと思いますが、スタジアム観戦の際に試合にまつわるリアルタイム情報がスマホを使ってキャッチできたりすると、観戦体験がよりリッチなものになるような気がします。(近い将来、今話題のガンバ大阪の新スタジアム、吹田スタジアムでも実用化されるのではないか、と勝手にワクワクしてます!)
二つ目は、「オリンピック以外のスポンサーシップの活用」です。パナソニックは現在サッカーブラジル代表のネイマールJr.選手(FCバルセロナ所属)とグローバル契約を結んでいますが、巨大スクリーン上でダッシュするネイマールJr.選手と徒競走できるというコーナーがありました。オリンピックの協賛権利だけでは実際の選手と勝負するという企画を作ることはできません。既に保有されている様々なスポンサーシップの権利を複合的に有効活用することで、より豊かなユーザー体験生み出すことができるわけです。
ネイマールJr.選手との勝負
昔、「ビートたけしのスポーツ大将」というテレビ番組の名物企画で「カール君」のコーナーがありましたが、まさにあの企画のデジタル版でついつい懐かしくなりました。
最後に三つ目として、「その他のステークホルダーとの連携」です。様々な企業やアスリートなど、オリンピック協賛を通じて繋がったステークホルダーとの協力・連携で実現している展示物が多く、より一層この展示会のリアリティさを生み出しています。これは一般的にはあまり目立たないポイントかもしれませんが、オリンピック協賛から派生する副次的なチャンスを最大限活用しようとするパナソニックのアクティベーション力の高さを垣間みることができました。
実は今回の「The World of Sports」体験レポート、これで終わりではなく、ここからさらに驚きの体験がありました。展示会場から少し移動したところにセットされていたオリンピックやパラリンピックを通じた“日本で初めて”の教育展示施設「Active Learning Camp」です。
Active Learning Campのコーナー
ここでは、オリンピックの精神や歴史だけではなく、そこから派生する世界各国の多様な文化や価値観、生活習慣を、インタラクティブに学ぶことができます。まだオープンしたばかりですが、先日もパラリンピアンを招きオリンピズムについてのワークショップが開かれ、子ども達は目を輝かせて参加していたそうです。現時点ではまだトライアル的な運営ですが、今後はオリンピック・パラリンピック教育推進校やパナソニックセンターに訪れる学生を主な対象者としてこのプログラムを提供していくそうです。
パラリンピアンを招いてのワークショップの様子
一般的にスポンサーシップでフォーカスされがちな「大会、競技を盛り上げる」という視点とは異なった「オリンピック・パラリンピックを通じた学びをご提案する」という視点。私自身の経験が少ないのかも知れませんが、こういったスポンサーアクティベーションをあまり観たことがなかったので、非常に感銘を受けました。
最後に、パナソニックは四半世紀以上に渡るオリンピック協賛活動を通して、そのコンテンツの価値を理解し、自社ビジネスの成長のみならず、社会貢献への活用方法も熟知されているように思います。5年後の東京オリンピックに向けて各パートナー企業がオリンピックというコンテンツとの向き合い方を模索している中で、パナソニックのこうした活動はまさにアクティベーションの模範となっていくのではないでしょうか。
文:SPOZIUM編集部