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3人制バスケットボール3×3でプロスポーツのパラダイム変換を起こす「3×3.EXE」 vol.2

文:松村知恵美 構成:SPOZIUM編集部

新しいバスケットボールのスタイルとして、世界的に盛り上がりを⾒せている3人制バスケットボール「3×3」(スリーバイスリー)。その中でも「3×3.EXE」は、ハイレベルのプロ選手が活躍するTOPリーグ「PREMIRE.EXE」から、誰でも⼿軽に3×3を体験出来るイベント「FESTIVAL.EXE」など、複合的な要素を社会に提供し、バスケットボール界やスポーツ業界に様々なパラダイムシフトを起こしている、これまでにない取り組みだ。この「3×3.EXE」を企画・運営するクロススポーツマーケティング株式会社長の中村考昭氏に、「3×3.EXE」の取り組みについてお話を聞いた。

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「3×3.EXE」の取り組みについて、具体的に教えてください。

「PREMIER.EXE」、「TOURNAMENT.EXE」、「GAME.EXE」、「FESTIVAL.EXE」という4つのカテゴリーを展開しています。 「PREMIER.EXE」はTOPリーグ、「TOURNAMENT.EXE」は国内最⼤規模のオープントーナメント、「GAME.EXE」という3×3未経験者の⽅でも楽しめる大会、「FESTIVAL.EXE」という3×3体験型イベントです。

これまでのお取り組みによって、そのリーグにどのような変化がありましたか?

バスケットボールで社会に注目される、一定の収入を得るというのは、これまではなかなか難しい事だと思います。しかし、この「PREMIRE.EXE」ができたことで、多くの人がプロスポーツチームオーナーやプロ選⼿として参画しやすくなったというのが、一番の変化だと考えています。例えば、ひとつの5人制プロバスケットボールチームを保有するには、維持費が年間数億円くらい掛かると言われていますが、「PREMIRE.EXE」では、プロチームの維持費は5〜600万円です。0がふたつ違います。それだけ参入障壁が低いプロリーグと言えます。

誰もがチームを運営し、プロ選手として活動できるということですか?

原則的に選⼿は、試合のある週末しか拘束されません。出場することで1試合あたり数万円の報酬があるので、拘束時間対報酬が⾼いと⾔えます。この収⼊だけで⽣活を維持することは難しいかもしれませんが、プロ選手の活動以外でも収入を得ながら、プロ選手としても活躍することができる。高いレベルでバスケットボールをプレイしながら、多様な生き方のできるプロ選⼿を生んでいるというのが「PREMIRE.EXE」の特徴の1つです。

多様な生き方のプロ選手というのは、どのような選手がいるのですか?

弁護士兼プロバスケットボールプレイヤー、公認会計士兼プロバスケットボールプレイヤー、サラリーマン兼プロバスケットボールプレイヤー、⼩学校教師兼プロバスケットボールプレイヤー など、本当に様々なバックボーンを持つ選⼿がいます。多様なライフスタイル、多様性を受け⼊れているという考え⽅方です。

これまでのプロリーグとは、どのように考え方が違うのでしょうか?

今までのスポーツリーグは、独占・固定化する事を前提とした制度を設計していたと思います。それはそれでひとつのあり方だと思いますが、「PREMIRE.EXE」は様々なライフスタイルの選手を受け⼊れています。プロチーム、プロ選⼿についてのパラダイムを転換させたと言えます。5人制のプロで、かつ3人制のプロという選手もいます。実は「PREMIRE.EXE」の選手の三分の一が5⼈制チームと掛け持ちしているなど、多様なバックボーンを持つ選⼿が多くいます。また「PREMIRE.EXE」はプロ選手だけでなく、プロスポーツチームオーナーの間口も広げています。今⽇のプロスポーツチームの状況は、産業⾰命前の⾃動車と同じような状況だと考えています。産業革命前、⾃動車は贅沢品で、一部の人間しか所有できなかった。それがフォードの登場で⼤量生産できるようになり、市場価格が下がり購⼊の障壁が下がりました。ただそういった状況の変化により、⾃動車が社会にもたらした価値が下がったというわけではなく、多くの人の生活を豊かにしていきました。これまで、プロスポーツチームを持つことができる人というのは、限られた人たちだけでした。ただ「PREMIRE.EXE」は、プロスポーツチームというものをどなたでも楽しめるように一般化、大衆化して多様性をもたせています。我々は“プロスポーツチームを持つ”ということを、手触り感のある、身近な楽しみにしたいと考えています。車を1台購入できる金額感で、チームオーナーになれます。年間5~600万の維持費が必要ですが、⼤会成績に応じた賞⾦が⼊りますし、スポンサーを付けたり、チームオリジナルグッズの物販などにより、チーム維持費を⼤よそ回収出来る可能性があります。これも「PREMIRE.EXE」がもたらした大きなパラダイム変換だと考えています。

これまで一般⼈にとっては“ファン”、“選手”という⽴ち位置しかなかったプロスポーツチームに、“チームオーナー”という新たな⽴ち位置を作り出したということでしょうか?

まさに仰る通りです。もちろん、これまでのプロスポーツチームのあり⽅を否定しているわけではありません。高級⾞は⾼級車で素晴らしいし、憧れている方も多い。ただ、日常に乗るのは小回りがきいて燃費のいい⼩型車や軽⾃動⾞が便利と考える方もいると思います。我々は後者の⽅々をターゲットにしています。会社員の傍らでオーナーをしている方もいらっしゃいます。他にも、2016シーズンから新規参入する「TACHIKAWA DICE.EXE」というチームは、⽴川商⼯会議所、立川市商店街振興組合連合会、⽴川⻘年会議所、⽴川観光協会といった地域の振興団体がチーム運営に携わる事になります。

オーナーシップという観点、プロスポーツ選手という観点でも、⼤きな変化を与えたのでしょうか?

これまでは、非常にバスケットボールの上⼿い弁護⼠さんがいたとしても、職業としては弁護⼠という選択肢を選んでいたと思います。ただ「PREMIRE.EXE」では、弁護⼠で、プロバスケットボール選⼿で、かつプロバスケットチームのオーナーになる事も可能なのです。

プロスポーツに対する考え⽅が変わりますね。

今、スポーツ産業界においてスポンサーシップのアクティベーションや、ROI(投資対効果)が問われる事が多くなっています。それは、いかに投資したお⾦を正当化するのかといったロジックを作っているということだと思いますが、つまりは、多種多様な説明をしないと効果が正当化しづらくなっているほど⾦額が⾼騰化しているという意味でもあると思います。ただ、それが4~500万円の投資であれば、投資対効果を測ることが⽐較的容易になります。 例えば50億円を回収する状況において、回収のロジックを作る事は非常に難しいと思いますが、500万円であればある程度スムーズに回収できる範囲の⾦額ではないでしょうか。このような⾦額感でプロスポーツチームを持つことができるのです。

企業がオーナーになっている「PREMIRE.EXE」のチームもあるのですか?

はい。「PREMIRE.EXE」では、チーム名に企業名を⼊れることもできます。TRYHOOP OKAYAMA. EXE というチームは、岡山県でバスケコート事業を運営されている会社がオーナーです。他に5⼈制のプロバスケットボールチーム「リンク栃⽊ブレックス」がオーナーのBREX.EXE や、2016シーズンから新規参⼊するチームに、⽇本フットサルリーグ(ゼビオFリーグ)に加盟するフットサルクラブ「アグレミーナ浜松」の運営団体がオーナーとなるチームなど、多種多様なオーナーや選⼿がいます。

3×3参加者の数も増えてきているのでしょうか?

そうですね、増えてきていると思います。国内で300万⼈程度のバスケットボール愛好家の⽅々が、参加出来る様々な3×3の⼤会が全国で開催されるようになって来ています。昨年、「3×3.EXE」は年間200大会ほど開催しています。主に⼟日に⼤会を開催しているのですが、この⼤会数は、ほぼ一年間の⼟日で、全国いずれかの場所で⼤会が行われているという形になります。選手の⽅にとって活躍の場があると励みにもなりますし、今は眠っていた潜在愛好者層を呼び起こしている状態だと考えています。

年齢制限などはあるのですか?

「PREMIRE.EXE」に選⼿として所属する場合や、「TOURNAMENT.EXE」に大会参加するには15歳以上に限らせて頂いています。ただ「GAME.EXE」は、小学⽣といったキッズや⼥子、男女ミックスなど、本当に多くのカテゴリーや競技レベルを設けています。本当に誰でも、自由に参加できます。誰でも、どこでもできます。少し⽂脈は変わりますが、スポーツビジネスの難しい点として、施設などのファシリティといった⾯があります。スタジアムやアリーナ、体育館などのスポーツ施設を作る場合、何百億、何千億円という費用が掛かるケースが多いと思います。ただ、3×3にはそういったスタジアムなどは必要ありません。例えば、六本⽊ヒルズの六本⽊ヒルズアリーナにコートをひいてゴールを立てれば、それで3×3はできてしまう。実際に、「PREMIRE.EXE」の決勝戦は六本⽊ヒルズアリーナで開催しています。⾼度に整備された都市インフラを再利用すれば、誰でもどこでも⾃由に、そして極めて安価に運営できるようになります。今までのプロスポーツとは、コスト構造が抜本的に違います。⾼いスタジアムを建てるから、チケットも⾼く販売する必要があり、スポンサーシップも高くなる。それならば、六本木ヒルズを借りて開催すれば、すべてのコストを抑えてできるようになります。

専⽤施設ではなく、既存の整備されている都市インフラを再利用することでスポーツ⼤会が開催出来てしまうのですね?

実際に、⻑崎駅のロータリーや、神⼾のショッピングセンターの中、宇都宮の商店街の中など、様々な場所で⼤会を行っています。その意味で、オーナーシップという意味でも気軽になりますし、選手という意味でも気軽になり、さらにファシリティ、スポーツ施設という意味でも気軽に⾏えるプロスポーツと言えます。

文:松村知恵美 構成:SPOZIUM編集部