SPOZIUM(スポジウム)

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「PLMが考えるIT×社会貢献の形」(後編)

文:新川 諒

前編では、パ・リーグウォークが生まれたきっかけについてPLM執行役員を務める根岸友喜氏に話を伺った。引き続き、後編ではこのパ・リーグウォークによって生まれるつながり、そこから目指す新たな社会貢献の形についてお聞きした。

「横のつながりを作るアプリに」

ボストンでの”出会い”から生まれたパ・リーグウォークは横のつながりを生み出すアプリとしても考えられている。

応援している球団のファンの間で歩数を競うことも出来れば、ソーシャルメディアと連携して実際の友人とも歩数を比較することが出来る。今まで個人の健康のために見ていた歩数を他の人と共有することが新たな社会全体の横のつながりを作っていくことも期待される。

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アプリ画面

パ・リーグウォークの魅力の1つはその気軽さにもある。スマートフォーンでアプリをダウンロードさえすれば歩数は自動計測される。一度アプリをダウンロードさえすれば、特別操作をせずに計測される。実際にアプリをダウンロードしてもらうことに対して障壁はあるものの、それさえクリアしてもらえば、プログラムを維持していくことハードルは低いはずだ。

「国を巻き込む壮大な取り組みに」

はじめにも述べた通りパ・リーグウォークは産官学の連携が取れた仕組み作りが出来ており、「官」の部分を担うのが経済産業省だ。パ・リーグウォークで得られるデータは学術への研究にも貢献出来る要素として「学」と共同でスタートした。だがPLMが目指す”国民全員の健康を”という壮大な取り組みには、国を巻き込むことが必要不可欠だった。

2020年に東京五輪を控え、スポーツを見るだけではなく、実際に競技者にもなってもらうことに赴きを置く国が目指している方向とパ・リーグウォークの取り組みとはマッチする部分が多かった。スポーツを見ることがやることに繋がる、その結果社会全体を健康にするという考えを共有して、経済産業省はパ・リーグウォークの後援となった。利益を求めた営利的な要因ではなく、社会貢献型の取り組みとして長期的な取り組みを目指している。

産官学の1組織が単体としておこなう取り組みではなく、パ・リーグ全体でハーバード大学という「学」を巻き込むことで公益性を作り、社会貢献型にしていくためにも「官」を巻き込む形を成し遂げた。各球団単位では作ることが難しい仕組みをPLMが生み出した形となった。これこそPLMが存在する意義を示した1つの形でもある。

この取り組みが現時点でプラスになっているかは未知ではあるが、マイナスには絶対ならない形で人を出来るだけ多く巻き込んでいく取り組み。これをしていくことがPLMの目指す正しいスポーツビジネスの在り方への追求でもある。

パ・リーグや野球という競技だけにかかわらず、スポーツが持っている社会への貢献の形は様々である。パ・リーグウォークは競技を超えた今までにない形で社会への貢献を目指していく。 スポーツ界の発展で日本を元気に、そして最終的な目標は国民みんなの健康である。そのために国を巻き込み、健康のプロを巻き込み、今後は他競技を巻き込んで横展開していく仕組み作りを目指す。

「パ・リーグウォークが目指す今後の展開」

パ・リーグウォークがスタートしてから2ヶ月ほどが経過した。今はユーザーの意見を聞きながら、改善を目指している段階だ。

今後の試みとしては、実際の選手やチアリーダーから「お疲れ様」というメッセージをユーザーに提供することでエールを送られたときの歩数の変動なども「学」と連携して研究を進めていく。そして各球団のファンであるユーザーを健康にするためにどういった仕組みが響くのかを検証していく。

パ・リーグウォークがもたらすもう学に対しての1つの魅力はデータの蓄積を可能とすることだ。応援しているチームの勝敗によって人間のアクティビティーにどういった影響があるのか。国民が健康になるためには何が効果的であるのか。さらには地域性と歩数の関係性はあるのか。車社会に属している地方球団は歩数が少ないのか。一般的にはなかなか得ることの出来ないデータを野球観戦によって得ることが出来る。

地方は車社会のため、歩く機会は都会の人間に比べて少ないという前提がある。だが現時点では北海道日本ハムファンが一番歩いているというデータが出ている。今後より多くのデータが蓄積された後でも結果が変わらないのであれば、一つの実証を築いていくことが出来る。これを継続していくことが出来れば野球が好きな人だけでなく、地域を巻き込んだ取り組みにもなり得る。「スポーツ観戦に行くことで健康になれる」はまだ仮説でしかないが、さまざまな実証を続けていくことでリアルなメッセージとして国民に発信出来る日が来るかもしれない。

アプリさえダウンロードしてもらうことが出来れば、永久的にデータは蓄積されていく。それを実現するためには、この取り組みを継続することが第一だが、認知度を徐々に上げていくことも求められていく。まずはパ・リーグファンと球場へ足を運ぶ来場客をターゲットにして、スタジアムビジョンを使って告知をしていくなどさまざまなコミュニケーションツールを使ってPR戦略を打ち立てていく。そして目安とするのは、1ヶ月目で得たユーザー1万に加えて毎月ユーザーを同じ割合で増やし続け、1年後には12万人がパ・リーグウォークをダウンロードしていることだ。

流行を作ることを目指すのではなく、国民が日常的に健康を意識し、野球を通して元気になる新たな価値をパ・リーグウォークが提供することが出来るのか。PLMのITを駆使した新たな社会貢献への挑戦が始まった。

「パ・リーグウォークはこちらから」 

文:新川 諒