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US OPEN アクティベーションレポート

文:SPOZIUM編集部

今回は、トランスインサイト社のNYスポーツビジネス視察ツアーに同行し、現地で体験したことを発信していきます。

第一弾は、錦織選手も活躍したテニスの4大メジャートーナメントの一つ、US OPENです。今年は約150億円をかけた屋根の設置が完了するなど、施設としての魅力度もかなり高いのですが、ここでは敢えて大会スポンサーのアクティベーションにフォーカスしようと思います。

まず、大前提の話ですが、US OPENには、毎年70万人を越える観客が訪れます。しかも、その観客の平均年収は2000万円を越えるとも言われており、やはり会場全体を見渡してもどこかラグジュアリー感の漂う観客が多いように感じます。フードコートには有名な飲食店が並び、一品の単価が大体$15〜20くらい、オフィシャルビールスポンサーのハイネケンの500ml缶ビールが$10なので、それだけで3000円弱のランチになります。この金額設定自体はそれほどスペシャルなことではないかと思いますが、汗ばむほどの晴天、大型ビジョンでの試合中継、テンションの上がる音楽など、これだけの要素が揃うと、完璧なる高級ビアガーデン状態です。つい気分が良くなって、二杯目のワイン(オフィシャルワインパートナーのJACOB’S CREEKは$12〜)まで容易に手を出してしまいます。

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フードコートの様子

写真 2016-09-10 13 04 06
オフィシャルワインパートナー 「JAKOB’S CREEK」

スポンサー側もこうした富裕層に対してアプローチをしたい企業が目立っていました。まず、エントランス入ったところにスポンサー一覧表がこちら。

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大会スポンサー一覧

アメリカン・エクスプレス、メルセデスベンツ、ラルフローレンなど日本でも御馴染みの高級ブランドが並んでいます。

今回は面白いアクティベーションをしていた二社を取り上げます。まず、一つ目がChase Bankです。日本人にはあまり知名度は高くないかもしれませんが、総資産2.2兆ドル、世界60カ国以上に営業拠点を持つアメリカを代表する金融機関です。彼らがなぜこのUS OPENに協賛しているか、戦略の詳細は分かりませんが、1982年から約35年に渡り大会を支えている大スポンサーです。ちなみに、まだ金額の合意には至っていないようですが、今回新設された屋根にも大きく「CHASE」のロゴが入っています。あくまでも体験ベースの話となってしまいますが、非常にユニークな取組みでした。

個人的に楽しみにしていた視察ということもあり、入場の時から色んな写真をスマホで撮影していたのですが、やはりあっという間に電池が消耗してしまいます。そんな際に出会ったのが、こちらのブース。

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CHASEのブース

ここでは「CHASE charge & watch」というタイトルで、スマホに取り付ける充電器を貸し出していました。

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貸し出しし出しの条件であった個人の携帯番号も日本のものでもあっさりOK。さらに、watchの部分は、大会公式アプリを通じて大会の中継が見られる、というものでした。アメリカのケーブルTV局などと契約していなくても、公式アプリをDLし、このデバイスを付ければ、会場内で飛んでいるfree wifiをキャッチすれば、自由に中継映像を見ることができます。アメリカではfree wifi自体は特に目新しいことではないようですが、日本に住んでいる人間からすると、この充電器、アプリ、wifiという三種の神器が気軽に手に入るのはとてもありがたいです。

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試合中継

続いて、二つ目に取り上げるのは、日本でも御馴染みアメリカン・エクスプレス(以下、アメックス)です。大きな会場の中でもアメックスはひときわ大きな建物を構えており、そこで「FAN EXPERIENCE」というアトラクションを展開していました。視察の中は大きく三分割されています。

①アメックスユーザーのみがくつろげるリラックススペース、

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②コートでコーチからの球出しを打ち返す事が出来るリアルテニス体験、

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③映像技術を駆使して、実際の試合会場であたかも自分がプレーしているかのように錯覚させる「PRO WALK」です。

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①や②はありがちなものかと思いますが、③に関してはこれまでもこういった企画を思いつくアイディアではあるものの、実際にこのクオリティで仕上がるのか、とその完成度の高さにビックリしました。言葉で説明するより見ていただいた方が早いので、こちらの動画をご覧ください。
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サンプラスやセレスといったレジェンド達に賞賛されると、気分はもはやチャンピオンです。視察に参加した学生からは、「ご飯やショッピングや企業のブースなど、テニスに興味のない私でも楽しむ事ができ、また来たいと思う」「メインのスタジアム、フードコート、スポンサーのブースなど、会場全体が上手く配置されていて歩き回るのが楽しかった」といった声が聞かれ、レベルの高いテニスの試合は勿論、それ以外の部分でも観客の心を掴んでいるのが分かります。

アクティベーションの大きな座組で言うと、会場での体験をより便利にしたり、より楽しくしたり、その体験を記録に残すためにアプリが存在し、そのアプリと上手く連動してアクティベーションが考えられている、という印象を受けました。今回はあまり触れませんでしたが、アプリには、試合映像・スタッツ情報を楽しむための装置と、それと別に、試合以外の周辺コンテンツを楽しむための装置という二つの側面があり、今後スポーツとスマホの距離がどんどん近くなってくる中で、両側のニーズを捉えアプリを開発する、さらには、そのアプリの機能を踏まえて、どのように観客を回遊させるか、観客にどのような観戦体験を与えるか、を考えて会場全体を設計することが必要となってくるのではないでしょうか。

文:SPOZIUM編集部