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スポーツの価値を社会に還元するパートナーシップ 14年目の「JFAユニクロサッカーキッズ」(前編)

文:畔柳理恵

ユニクロとスポーツの関係といえば、錦織圭選手や国枝慎吾選手などテニス選手とのアンバサダー契約が思い浮かぶが、それより以前、2003年から継続しているプロジェクトがある。6歳以下のキッズを対象としたサッカーフェスティバル「JFAユニクロサッカーキッズ」だ。

14年目を迎えたプロジェクトを担当する、株式会社ユニクログローバルマーケティング部スポーツプロジェクトチームの冨井晴子氏と、公益財団法人日本サッカー協会マーケティング部の林鉄朗氏に話を聞いた。

お二人のキャリアについて教えてください。

冨井:2010年に新卒でユニクロに入社し、3年ほど様々な店舗を経験してから店長を1年半、その後、社内公募に応募してグローバルマーケティング部に異動し、今に至ります。スポーツプロジェクトチームは主にスポーツに関わる案件を担っていますが、その中で私はサッカーキッズを担当しています。

林:2007年に新卒でリクルートに入社、2013年8月に日本サッカー協会(JFA)に入局しました。入局してからは、一貫してJFAのマーケティング業務に携わっています。

JFAユニクロサッカーキッズが開始された経緯、狙いはどんなものだったのでしょうか。

冨井:ユニクロがキッズウエアの販売を本格化し始めた2003年当時、子どもたちの体力低下や核家族化などが社会的に取り沙汰されるようになっていました。そうした問題をスポーツを通じて解決していきたいというJFAの想いに対し、服を通じて世の中に貢献していくことを理念とするユニクロが賛同し、特別協賛という形でユニクロサッカーキッズが始まりました。

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2003年立ち上がり当初のイベントの様子(©JFA)

2014年からはサッカーキッズの会場装飾やTシャツも一新し、ブランドの再構築に取り組んでいます。

林:初年度は年間3会場からスタートしましたが、現在は全国各地、年間14会場で開催しています。参加者はキッズが約2万人、保護者も含めると約5万人ほどの方に参加いただいている、この年代では全国最大級のスポーツイベントとなっています。これまでに参加いただいたキッズはのべ20万人を超えています。

冨井:ユニクロにとってこのプロジェクトは、CSRとしての意味合いもありますが、6歳以下の子どもたちにユニクロの商品に触れていただく機会という側面も持っています。ドライEXという、錦織選手やジョコビッチ選手のようなトップアスリートにも認められている素材を使ったユニクロのTシャツをユニフォームとして着用して、東京ドームのような会場でスポーツをする「マイファーストビッグマッチ」の経験を通じて、商品に愛着を持っていただければいいなと思っています。

特に2014年のリニューアル後は、参加者へのアンケートで「プロの選手のようなかっこいいユニフォームを着ることができて嬉しいです」という声をいただくこともありますし、ユニフォームを着た子が会場近くのお店に立ち寄ってくれる姿も見られています。

2014年のリニューアルが転機になっているようですね。

冨井:2013年以前は粛々とイベントを開催しており、すごくいいイベントであるのに、ユニクロ側があまり手を掛けられていない、イベントを知っていただくような活動ができていないという思いがありました。そこで、ユニクロ全体のアートディレクションを手掛けている佐藤可士和さんにお願いして、ブランディングに取り組みました。

林:ちょうどその頃、双方の組織において担当部門の変更がありました。そこから、ユニクロさんとJFAとの間でコミュニケーション量が飛躍的に増えていきました。また、ユニクロさんには担当者だけでなく役員の方々にも積極的に現場に来ていただくようになり、現場を踏まえた意見やアドバイスも寄せていただくようになりました。そこからこの事業の価値を双方でどうしたら高められるのかという会話が生まれ、今に至っています。

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2014年リニューアル後のイベントの様子(©JFA)

そこからどのような変化が生まれたのでしょうか。

冨井:いくつかありますが、1つは、別部署のプロジェクトとの連携です。弊社では難民の方に衣服を届ける「1000万着のHELP」というプロジェクトを行っています。その中で、特に子ども向けの衣服が足りないという課題がありましたので、サッカーキッズの参加者の方に事前にお声掛けをしたところ、多くの方が協力してくださいました。JFAさんのオフィスにも回収ボックスを置いていただいていました。

もう1つは、障がいのあるキッズの参加です。弊社に勤務するデフサッカー(聴覚障がい者サッカー)日本代表の塩田知弘選手にサッカーキッズを見に来ないかと声を掛けてみたら、来場して子供たちと一緒に楽しんでくれました。そして「自分はサッカーを通して成長し、壁を乗り越えることができた。同じような子どもたちがたくさんいるはずだから、そういう子がもっと参加しやすくするにはどうしたらいいか」という意見を出してくれました。確かにそれまで、障がいを持ったお子さんが参加していた記憶はなかったので、塩田を通じて、大阪の障がいのある子どもたちのサッカーチームに参加してもらいました。障がいの有無に関わらず、皆が一緒にサッカーを楽しんでいる姿を見て、サッカーはボール1個で誰もが楽しめるんだなということを、大人が教えてもらう機会になりました。

文:畔柳理恵