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スポーツの価値を社会に還元するパートナーシップ 14年目の「JFAユニクロサッカーキッズ」(後編)

文:畔柳理恵

14年間継続して、未就学児がサッカーを体験するフェスティバル「JFAユニクロサッカーキッズ」に取り組んできた株式会社ユニクロと公益財団法人日本サッカー協会(JFA)。

前編に続き、後編ではユニクロならではのスポーツとの関わり方と、今後の展望を聞いた。

先ほどお聞きした「1000万着のHELP」プロジェクトとの連携は、スポーツの持つ価値を活用した素晴らしい事例だと思います。

冨井:ユニクロの会社の方針として「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という言葉があります。スポーツブランドであれば1秒でも早く、1mでも遠く、という視点で商品開発や選手の支援を行うと思いますが、ユニクロは社会に対してどう還元できるかということを考えながらスポーツの事業を行っています。

元々、私はお店に勤務しており、来店したお客様にどう喜んでいただくかを考え店長の仕事をしていました。そこから、このイベントにお越しいただいたご家族にどう楽しんでもらうか考えるように変わっただけなんです。ですので、元々スポーツ畑じゃないことがよかったかもしれないと思います。

林:ユニクロさんの特徴として、「社会におけるスポーツの価値とはなにか」という視点でコミュニケーションをしていただいています。看板を出して終わり、というような一般的なスポンサーシップではなく、企業として社会とどのように関わっていくのか、その中でスポーツをどのように活用していくのかという視点でこの事業を捉えていただいていると感じています。

冨井:また、ユニクロは部署を超えて連携しやすい風土ですし、いろんな意見が言いやすい、アイデアを吸い上げようとしてくれる会社だと思います。

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「1000万着のHELP」との連携(©JFA/PR)

プロジェクト内でのコミュニケーションも円滑なようですね。

冨井:スポーツ組織の中でもJFAさんはリベラルで、また、我々がスポーツブランドではないからこそ、いろんなことを取り入れていただきやすかった面もあると思います。

あとは、他のスポンサーさんとの調整が少なく、1対1で話せる機会が多いのも良かったと思います。2015年からはベネッセコーポレーションさんもパートナーに加わったので、3者協働での取り組みの検討も始まりました。

効果測定はどのように行っているのでしょうか。

林:実は、2014年より前は、「開催会場数」や「参加者数」といった指標以上に踏み込んだ振り返りはできていませんでした。我々としてもその点を課題として設定し、事業の価値を定量的に測定する仕組みの検討に着手しました。2015年より筑波大学と協働で、来場者へのアンケートを実施することにしました。イベントに参加いただいた保護者や指導者の方、約1,200人に現地でインタビューを行い、イベント運営やパートナー企業に対する客観的な評価をいただく取り組みです。

結果は数値、他事業との比較において大変興味深い内容でした。具体的には、参加者におけるSponsor Gratitude(スポンサーへの感謝の念)がかなり高い傾向であることを把握でき、またユニクロさんに対する評価軸として「親近感」が最も高いことがわかりました。これは永続的なブランド理解を促すことが期待でき、グラスルーツ系事業の価値を示すものであると考えています。

冨井:ユニクロとしては、まずはイベントに満足していただけたかどうかが気になりますね。その次に、ユニクロのイメージについて確認しています。イベントのスポンサーというのは継続することが難しいものだと思うのですが、効果を測定して継続可否を判断するというよりは、ここまでJFAさんと一緒に育ててきたイベントをさらによくしていこうという視点で振り返っています。

林:満足度を測定する指標として、アンケートでは「事前期待」と「再訪意向」を調査しています。9割以上の方が「イベントに参加するのを楽しみにしていた」と答え、「また来たいですか」という質問にも95%の方がまた来たいと回答いただいています。

冨井:コメントの中でいただく運営面の改善点については、JFAさんとお話しして次の回から改善しています。「ベビーカーを置くスペースがなくて困った」という意見があれば、次の回から置き場を作ったり。会社としては「衣服の回収について事前にもっと告知してくれたら協力したのに」という意見を多くいただいたので、そういった点も改善しました。

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重要な評価軸である「親近感」の高さが伝わるイベント(©JFA)

今後の展望をお聞かせください。

冨井:サッカーキッズは、2014年、2015年にシンガポールで開催することができました。ここから海外にもより広げていくことができればと考えています。

林:シンガポール開催は、ユニクロさんのグローバル戦略、それからJFAのアジア貢献活動のニーズの重なりをもとにご提案させていただきました。現地のサッカー協会と現地のユニクロさんも交え、4社で協同し実現することができました。

冨井:サッカーキッズには今、年間約2万人に来ていただいていますが、これからもサッカーの経験の有無に関わらずたくさんの子どもたちに来ていただきたい、と考えています。

林:いま、ベネッセコーポレーションさんを含めて3者で、中長期的にこの事業をどうしていこうかという議論を始めています。3者がパートナーシップを結んで事業の価値をどう高めていくか、参加者の体験の満足度をどう高めていくか、関わっていただく方の満足度をどう高めていくか、というコミュニケーションが始まっているので、その会話の中からまた新しい取り組みにチャレンジしていきたいと思います。

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文:畔柳理恵