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8年で売上9倍!パ・リーグビジネス拡大を支える3つの戦略(後編)

文:加賀一輝  構成:SPOZIUM編集部

「8年で売上9倍!パ・リーグビジネス拡大を支える3つの戦略」では、パ・リーグのファン拡大の一翼を担うパシフィックリーグマーケティング株式会社(以下PLM社)のこれまでの実績と、同社が掲げるミッションについて、「デジタルメディア」「子ども」「海外」のキーワードから迫った。後編となる今回は、PLM社内のメディアセンターを訪問。同社のコンテンツがどのようにユーザーへ届くのか、その過程を体験してきた。

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PLM社の各種施策実行をリードする同社執行役員の根岸友喜氏

メディアセンターの様子を一目見て感じたのは、全体的に若いスタッフが多いということ。PLM社の各種施策実行をリードする根岸友喜氏は「(主力コンテンツである)パ・リーグTV(PTV)の利用者は年代的に若く、スタジアム来場者層と比べて特に20代男性が多い」と話し、コンテンツを作成する側と利用する側の感性が、自然とすり合わせされるような形が作られている。同社がベンチマークするメジャーリーグ(MLB)でも同様の傾向が見られるようで、進んでいるベクトルとしては間違っていない。

メディアセンターから配信されるコンテンツは、大きく分けると2つある。1つはPTV内のライブ速報、もうひとつはビデオ・オン・デマンド(VOD)だ。

◆ライブ速報

壁面に3つの大きなスクリーンが備え付けられ、それぞれパ・リーグの試合が映し出されている。左から札幌ドーム、コボスタ宮城、京セラドームといった具合だ。左右4列に並べられたテーブルの最前列が速報入力者にあてがわれており、彼らはスクリーンを観ながらリアルタイムで起こっている事象を自席の端末に手際良くクリックしていく。

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新しくデータが増強されたパ・リーグTVの画面

この積み重ねにより様々なデータの蓄積がなされ、ライブ観戦に深みが出る。4月末までには掲載されるデータが15種類から50種類に増強予定。自前でデータを取り貯め、それをPTV内でアウトプットする。これはリーグビジネスを行うPLM社だからこそできる取り組みだ。根岸氏は「ファンの中でも色んな野球の見方が存在する。だからこそ、皆が楽しめる品揃えを出していきたい」と狙いを説明した。

◆VOD

メディアセンターの後方の席には、ソーシャルメディアのチェックや様々なデバイスでPTVの配信が問題なくされているかを確認するスタッフがいた。その中でも、一番多くのスタッフがケアしていたのがビデオ・オン・デマンド(VOD)の配信だ。VODは観たいときにコンテンツを視聴できるものだが、PLM社におけるVODは試合のハイライトや目立ったプレーが対象となることが多い。

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スマートフォン、PC、タブレットなど、様々なデバイスで配信

アイデアはファン目線で物事を見るという大方針のもとスタッフの各々の感性に任されており、それぞれが面白いと思ったら口にする。そして、話し合いの結果アップが決まると、その場ですぐに編集を開始。当該プレーから1時間も経たないうちに、PTV内やソーシャルメディアに掲載される。ファンが何を望んでいるのか、どんなプレーを面白がってくれるか。それを瞬時に判断し、スピード感を持ってVODに落とし込む。ある種のセンスが問われるものだが、エンターテインメントを標榜する集団には欠かせない要素だろう。

「我々はエンターテインメント産業の一翼を担う者として、お客様からお金をいただき、それ以上の価値をサービス提供するつもりで仕事をしている」と根岸氏はPLM社としての姿勢を示した。ユーザーファーストの姿勢を見せ、時には彼らからの意見を取り入れる。そして、しっかりマーケティングを行った上でコンテンツの充実を積極的に行う。(4月20日には「対戦検索サービス」のトライアル版がリリースされたこのビジネス発想を以って、野球界にイノベーションを起こすことがPLM社の使命だろう。今後もその取り組みを見守っていきたい。

文:加賀一輝  構成:SPOZIUM編集部