SPOZIUM(スポジウム)

ACTIVATION

仕事の合間に気軽にできる運動を。 「オフィスポ」が目指すブレークタイム革命。

文:SPOZIUM編集部

スモーカーにとって、仕事の合間の「ちょっと一服」がコミュニケーションを生んだり、アイディアの源泉となることがある。一方、ノンスモーカーにとって、なかなか共通のブレークタイムの過ごし方がない。

そんな中、スポリューションチームから新しいプロジェクトが生まれた。オフィスでのブレークタイムに気軽にできる運動、名付けて「オフィスポ」。今回は、この「オフィスポ」の仕掛人でもある、ブレークタイムコンサルタント奥村誠浩氏、伊藤亜実氏に立ち上げの背景や今後の展望について語っていただいた。

奥村さん亜実さん
写真右:「オフィスポ」ブレークタイムコンサルタントの奥村氏(右)、伊藤氏(左)

「オフィスポ」を立ち上げたきっかけ

奥村氏
「私は学生時代にアメリカンフットボール部に所属し、社会人になってからも週末は部活で身体を動かすことで、リフレッシュして翌週の仕事に臨むことができていました。しかし、約三年前、試合中にアキレス腱を切ってしまってから人生がガラッと変わりました。手術後、リハビリ期間も含め、元に戻るまでに約1年間かかった挙げ句に、それ以降は、以前のように週末に身体を動かす習慣がなくなり、逆に身体が悲鳴を上げていることに気づいたんです。それと同時に、頭の回転も鈍るような感覚に陥りました。

そんな中、スポリューションチームに入り、自分たちで何か新しい取組みを始めよう、と考える機会が一つの大きなきっかけです。ちょうどその前後に、会社で昼寝が許されるとか、社内で体操をやっていますといったニュースや記事を触れていたので、脳を気分転換させるようなオフィスでやれる運動もあるのでは?ということで「オフィスポ」を思いつきました。

また、会社の三階にあった社員用トレーニングルームが閉鎖されたのも一つのきっかけだったかもしれません。ランニングマシンと腹筋マシンが三台ほど置いてある小規模のものだったのですが、仕事の合間とかにちょっと気分転換に身体を動かせる貴重な空間だったので。」

伊藤氏
「私も約一年前にスポリューションチームに入った際に、新しい事業を始めるチャンスだと感じ、自分が興味のあるダンスや、個人的にやっていたヨガで何か新しいことを仕掛けたい、と思っていた矢先に奥村さんに誘ってもらいました。

ちょうど奥村さんが“ガチ”な体育会系人であれば、私のような全く“ガチ”ではない人間がいる方がユニットとしてバランス取れるよね、あまりスポーツ関与度の高くないオフィスワーカーを巻き込むためには、彼らの気持ちが分かる“ガチ”ではない人間がいた方が良いよね、ということで、一緒にプログラムを考え始めることにしました。(笑)」

「征矢先生」との出会い

奥村氏
「当時、何となくオフィスポについて考えていた時に、「脳 運動」で検索したら、運動が脳にもたらす効果について研究されていた征矢先生に記事にヒットしました。これはもしかすると、色々教えてもらえるかもしれない、ということで、社内のつてをたどっていくと、たまたま征矢先生と繋がり、ご紹介いただくことに成功しました。

征矢先生は、子どもを中心に研究を行っておられます。特に、震災の影響でメンタルに問題を抱えている子ども達を対象に、身体からリフレッシュさせた結果、脳も活性化にも繋がる、という実証実験をされていて、まさに、こちらのデータが示している通り、運動と成績の関係が見てとれます。

こうした研究結果をはじめ、先生の研究が世界で認められ始めたタイミングに、電通の人間が飛び込んできたということで、先生も我々を歓迎してくださりました。子どもではなく、オフィスで働く大人においても、このような関係性があるのではないか、と相談を持ちかけたところ、これは大人も子どもも関係ない、ということで、我々の活動のお墨付きを得ることが出来ました。」

オフィスでの労働環境、ワークライフバランスについて

奥村氏
「現在13年目となって、仕事はもちろん、プライベートの過ごし方も以前とは変わってきています。家ではなるべく仕事をしないよう心がけ、朝は泳いで、時間のある時は夜マンションのフィットネスでトレーニングをする、というとにかく健康的な日々を心がけています。その一方で、社内外も含め、同年代の友人達をみると、結構忙しい毎日を送っている人もいます。

つい先日、人事システムの企業と話をさせていただく機会があったのですが、彼らは単に成果評価をやるのではなく、社員のメンタルまで管理したシステムを扱っていて、その中で心の不健全な人の割合が増えてきている、と仰っていました。

住むエリアに関しても、最近、湘南に移り住みましたという人が、心身ともに遠くても充実しているケースがある一方で、会社に歩いていける程の距離に住んでいる人が、朝晩共にだらっとした生活を送っていたりするケースもあるようです。個人的には、ワークライフバランスを実践している人と、できていない人の二極化が進んでいるように感じます。」

伊藤氏
「日本全体について言えることだと思いますが、日本のオフィス環境は、制度や調達コストといった観点から用意されたモノの中に閉じ込められているような気がしていて。私が個人的にデスクで使っているバランスボールや、自分にとって最も使いやすいキーボードを自由に使えるようになれば、つまり、ヒトの健康という視点にたったオフィス環境作りができれば、色々ポジティブに物事を変えていけるのではないか、と考えています。」

奥村氏
「スポリューションは、企業や社会の課題を解決する、スポーツ団体側の課題を解決する、ということをテーマに活動していますが、オフィスポでは、このようにオフィス回りに散見される個人の課題を解決したいです。B2Cのサービスを展開していく中で、B2Bのビジネスに繋げていければ、と思っています。」

オフィスポに対する社内のニーズは?

伊藤氏
「先日、社内でアンケートを実施しました。多くの方から寄せられた回答の中で、「社内の空き時間に運動できるといい」といった内容がかなり見られました。そこで、オフィスで働く人のブレイクタイムインサイトを蓄積していく必要があるんじゃないかな、と感じました。私たちは、一般生活者のインサイトについては、普段の業務で蓄積している部分がありますが、オフィスワーカーについても同様に貯めていくオフィスワーカーの課題解決に繋がるのでは、と思っています。」

電通報アンケート
電通報のアンケート結果の画像

奥村氏
「元々、うちの会社はタバコを吸う人が多かったと思います。各フロア、オープンスペースの片側サイドに、立派な喫煙スペースがありますが、これはスモーカーのためだけに作られた空間ですね。スモーカーの皆さんにとっては非常にありがたい場所かもしれませんが、ノンスモーカーにとっては不健全な税金を会社におさめているような感覚です(笑)。

喫煙スペースの逆サイドは、一応、リフレッシュスペースとなっているのですが、タバコの残り香が少し香っているといった状況で・・・・(苦笑)。むしろ、ノンスモーカーのためのブレイクスペースを作るべきで、我々としては、そこの開拓をやってみたいと思っています。

伊藤氏
「タバコの自販機が置いてあるのと同じように、ブレークタイムに軽く運動できるアイテムが1回100円とかで使えたりすると良いですよね。最近、一つのアイディアとしておもしろいのでは?と思っているのが「ボディメトリクス」という企業です。以前、電通報の記事(http://dentsu-ho.com/articles/2422)で書かせていただいたのですが、彼らは新しいストレッチマシンを開発し、企業のオフィスに設置する取組みを始められているようです。

アストロラボ
業務系システム開発を行う「アストロラボ」さんに設置されたストレッチマシン

奥村氏
「近々電通社内にも一台設置する方向で検討しているのですが、筋の硬度がどの程度変わるのか、また、その結果どの程度キブンがリラックスするのか、などを定量化できないかと考えています。この関係性が可視化できると、B2Bビジネスの対象となる企業側のこの機械を買う理由になるのではないでしょうか。

B2Cとしてのユーザーの意見は非常に大切です。私は、ここ一年間ほど毎朝ジムで泳ぐことを継続しています。個人的には、体型を維持するため、泳ぎを上手くなるためにやっているだけなのですが、周囲からは驚かれます。結局、人事や総務に環境を用意してもらうのではなく、モチベーションは自分なのだと思います。健康ルームは一部の人しか使わない、だからやめましょう、という議論になりました。でも、タバコに関しては、誰も突きつけない、という現状がある。オフィスポは、ジムやフィットネスが提供するようなTHE健康プログラムではなく、楽しみながらできる、というサービスを目指したいです。

オフィスワーカーのちょっとやってみたい、という気持ちをくすぐって参加を募る、それに対して、企業が乗っかってくる、というユーザーモチベーションを起点にしたサービス提供の循環を創り出したいと思っています。そういう意味では、「ゆるすぽ」(http://yurusports.com/)の発想に近くて、まさに、ゆるすぽオフィス版の位置づけだと思っています。」

オフィスポ、オリジナルコンテンツ第1弾!

オフィスポヨガ

伊藤氏
「元々、ダンスをやっていたのですが、太ももの裏側が内出血を起こすほどの足の付け根を肉離れをやってしまいました。その後、座骨神経痛のような症状が慢性的になり、病院で診察を受けても明確な治療方法がないと言われ・・・。あるとき、試しにヨガをやってみると、血行が良くなったのか、症状が軽くなったんです。まさに、その経験がオフィスポにマッチしました。

ヨガは海外だとアスリートが身体のメンテナンスで取り組んでいることもあります。日本だと女性がダイエット文脈でされていることが多いのですが、ちょうどオフィスポの取組みにヨガを組み込めないかな、と。この「オフィスポヨガ」は、着替えずに誰でも気軽にできる、というコンセプトがあります。今までの女性中心のヨガとはひと味違った、オフィスワーカーが自分の働くコンディションを整えるためにサクッとやって、スタイリッシュに仕事に戻っていく、というイメージです。

記念すべき第一回の社内イベントには、かなりの男性の方にも参加していただき、男女比率は大体半々くらいでした。ヨガってこんな気軽にできるんだ、頭がスッキリしたわ、という声が続出。今後、色んな企業さんを中心にトライアルを重ねて行く予定です。

今後の展開としては、協会と組んでこのプログラムを指導できる先生を養成・派遣してもらったり、オンラインストリーミング配信でのビジネス展開を考えています。実際に、海外ではオンラインでのヨガのレッスン動画配信サービスが流行っています。いつでもどこでも好きな時間にやることができるというのは、ユーザーからすると大きなメリットで、さらには、著名なヨガの先生を含めてのヨガのマッチングサービスプラットフォームにも発展させていきたいです。海外では一歩進んだヨガ文化が形成されていますが、まだ日本では未発達だったりするので、そういう部分を掘り起こしていければ、と思います。」

ヨガ体験会
会議室でオフィスポヨガを体験する社員の皆さん

2020年に向けて、オフィスポの展望は?

奥村氏
「先日、あるオフィス機器/家具メーカーさんとのディスカッションの場で、「これまで部長と平社員のオフィス家具の格差はあったが、今は均一になっているかもしれない。今後、エキストラでお金が払えば、オフィスポ認定の機能が付加されたオフィスポアイテムを購入することが出来れば良いですね、という話をしていました。

冒頭でもお話しした通り、オフィスポとしては、B2Cのサービスを回しながら、ブレークタイムにまつわるインサイトを蓄積していき、まさに、メーカー企業さんとの商品開発といったB2Bのビジネスに繋げていきたいと考えています。オリンピックに向けて、海外の観光客が日本のオフィスを見た時に、オフィスが輝いて見える「ブレークタイム先進国」になっていければ、と思います。」

文:SPOZIUM編集部