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Jリーグタイトルパートナー明治安田生命の挑戦(後編)

文:岡田真理 構成:SPOZIUM編集部

前編では、明治安田生命保険相互会社の営業企画部・西山英之氏にご登場いただき、Jリーグとのタイトルパートナー契約にかける思いや締結までの経緯をお話いただいた。後編では、今回の契約における課題や今後のビジョンについて、引き続き同氏に伺っていく。

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明治安田生命保険相互会社 営業企画部営業企画グループ 西山英之氏

Q5.タイトルパートナー、もしくは各クラブチームへの協賛に関して、課題となったことはどんなことでしょう。

すべてのクラブチームと各種の取り組みの土台となる関係を築くことは、想像していたよりも難しかったですね。すでにたくさんのスポンサーがついている歴史あるクラブと、まだ創設して間もないクラブとでは状況が違います。しかし、今回は「このクラブとはできるが他のクラブではできない」というような差を可能な限り少なくして、全52クラブに対して統一のモデルを構築したいという思いがありました。

そこで、各クラブチームと当社の各支社が結ぶ契約のベーシックな部分を予め標準化し、それをパッケージとしてJリーグから各クラブチームへ、当社は本社から各支社へと連携し、最終段階でクラブチームと支社の担当者で調整する形をとりました。

しかしながら、Jリーグのクラブチームが存在しない都道府県があったり、同じ都道府県内でも実際にはクラブチームの本拠地と支社の距離が離れていたりするなど、さまざまな課題があり、それらをひとつひとつ解決していくのは大変な作業で、今も各支社の担当者とともに努力しているところです。

Q6.契約を締結してから、何か手ごたえを感じていることはありますか。

当初は想像していなかった事例が出てきており、手ごたえを感じています。例えば熊本支社ではお客さまを中心とした地元の方々をロアッソ熊本さんの試合にお連れするイベントを行いました。クラブチームに「ファンを増やすお手伝いをさせていただきたい」とお願いしたところ快諾していただき、我々にとってもパートナーとして絆を深めるよい機会となりました。

驚いたのは、サポーターのみなさまの反応です。「ロアッソファンの裾野を広げるために明治安田生命の熊本支社が頑張ってくれている」と、非常に喜んでくださったのです。そして、イベント参加者向けにわざわざ応援のコールをレクチャーする会を開催してくださいました。その試合は当社の冠試合ということもあり、“明治安田生命コール”までいただきました。

今回の取り組みでもっとも危惧していたのが、コアなサポーターのみなさまの反応でした。サポーターのみなさまからしてみると、私たちは新参者。スポンサーという立場に物をいわせ、横柄な態度で反感を招いてしまえば、この取り組みはうまく進めることはできないと思っていました。しかし、ありがたいことに実際にはこんなにあたたかく受け入れていただくことができたのです。

サポーターはロアッソを応援することで熊本を盛り上げ、当社の熊本支社は生命保険事業を展開する中で地域社会の活性化をお手伝いする。Jリーグが橋渡しとなって、結果的に「熊本を盛り上げよう」という気持ちがひとつになったことは、非常に嬉しかったですね。全国的にも、そういった事例が徐々に出始めてきています。

Q7.タイトルパートナーの効果を、どのように測っていますか。

今回のタイトルパートナー契約の目的として、当社では3つの柱を掲げています。一つ目は「企業イメージの向上」。二つ目は、Jリーグとの取り組みを通じて「当社の新たなファンを増やすこと」。そして三つ目は、全従業員が同じものを応援し、同じベクトルに向かって「一体感をさらに高めていくこと」です。

それぞれの柱に対して目標を定め、社内外での調査などを通じてその効果を測っています。今年度は、社内の各部署から「Jリーグとこういう取り組みをしたい」というリクエストや相談が毎日のように事務局に提出されています。各部署からいろいろなアイデアが発信されており、社内がJリーグで非常に盛り上がっていると感じています。

Q8.今回のタイトルパートナーシップについて、今後のビジョンを教えてください。

Jリーグとのタイトルパートナーシップをベースに、各地域のクラブとともに地域社会の活性化に取り組むことで、いかに地域に根ざした存在になれるかが最も大事なところだと思います。

今はまだ足固めの段階ということもあり、好事例がある一方で、まだまだ計画が具体化していない地域もあるなど、支社によって取り組みにバラつきがあります。最終的には、熊本の事例のように「クラブチーム」「当社の支社」「サポーター」の三位一体での取り組みが全エリアで同じように展開できればと考えています。

例えば、私の地元である長野県松本市では松本山雅FCさんの人気が非常に高いのですが、「地元のクラブチームといえば松本山雅FC。その松本山雅FCを応援しているのが明治安田生命の松本支社」と、地域の多くの方に認めていただける存在になることが最終的なゴールですね。

Jリーグにかかわる取り組みの効果が本業に表れるには、それらの取り組みが地域のお客さま一人ひとりにもっと認識いただけるだけの“存在感”が必要だと考えています。みなさまが「どこの生命保険に加入するのがいいか?」と迷われたときに、「地元を一生懸命応援していて、地域のために汗をかいている明治安田生命がいちばん信頼できるのではないか」と思っていただけることが、私たちの目指すところです。

お客さまにとっては、対面でサービスをご提供する当社の従業員が、明治安田生命の存在そのもの。もちろんテレビCMなどのメディア発信も大切ですが、同時に地域レベルの取り組みを展開することで、お客さまの日常にまで効果を持ち込むことができます。それが、当社にとって最大のプロモーションであり、今回の取り組みにおける最大の狙いなのです。

文:岡田真理 構成:SPOZIUM編集部